2008 Fiscal Year Annual Research Report
1910-20年代ヨーロッパ前衛芸術とモードの交流:ソニア・ドローネーの服飾芸術
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07J11771
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
朝倉 三枝 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ソニア・ドローネー / 1920年代フランス / アール・デコ / ファッション / デザイン史 / 西洋服飾史 |
Research Abstract |
本年度は、昨年3月に提出した博士論文に基づき、アール・デコ期のデザインと同時代の女性表象の関係性という新たな課題に着手した。2008年7月に開催されたデザイン史学研究会の研究発表会では、1920年代に衣服制作を展開した画家のソニア・ドローネーのテキスタイル・デザインに注目し、そこに見出される幾何学模様が、その視覚作用によって、曲線と共に強調されてきた女性身体を、平らで直線的な身体に作り変えるものであったことを指摘した。また、彼女が幾何学的形態と色彩によって、新しい女性身体の創造を試みていたことを、彼女の一連の制作活動をたどる中、検証した。 9月のパリ出張では、メゾン・エルメスのアーカイブ責任者のメネウル・ドゥ・シャテル氏を訪問し、1920年代にソニア・ドローネーがエルメスのために手がけたポスターや装飾品などについて意見交換を行った。その中で、エルメスが馬具や鞄の専門店という地位を固める一方で、同時代の前衛芸術にも目を向けた革新的な商品展開を試みていたことが明らかになった。またそれとは別に、博士論文の調査の中で見出した、1925年にパリで開催されたアール・デコ展開催時のエルメスの展示スタンドの写真を提供したところ、そこで使われていた家具の一部が1980年代中頃までパリのエルメス本店で実際に使われていたものと同じデザインであったことが判明した。さらにパリ出張では、ダダ研究で著名なマルク・ダーシー氏と面会し、ソニア・ドローネーが1920年代初頭に友人の前衛詩人たちと共同で制作した「ローブ・ポエム(詩-ドレス)」について意見交換を行った。
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Research Products
(1 results)