2007 Fiscal Year Annual Research Report
心筋の生理的および病的状態におけるナトリウム・カルシウム交換機構の役割の解明
Project/Area Number |
07J11799
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
行方 衣由紀 Toho University, 薬学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ナトリウム・カルシウム交換機構 / 心臓 / イオントランスポーター / 虚血-再灌流傷害 |
Research Abstract |
本研究ではNa^+/Ca^<2+>交換機構(NCX)の特異的阻害薬SEA0400を用いた薬理学的・電気生理学的手法に加え、細胞内動態の画像化法を組み合わせた総合的検討により、NCXの観点から心機能を包括的に理解することを目指した。申請者はこれまでにSEA0400を用いて、虚血-再灌流傷害時にNCXを介してCa^<2+>過負荷が生じ、ミトコンドリアの機能低下が起こることを明らかにした。そこで本年度の研究では虚血時に上昇した細胞質内Ca^<2+>がどのような経路によってミトコンドリアへ流入するのかを検討するため、単離心筋細胞の細胞膜を透過性にする技術によってミトコンドリア外液の環境を制御し、ミトコンドリア上のチャネルやトランスポーターの活性を画像化によって直接検出する系を構築した。この研究によって、1.虚血時ではミトコンドリア内にCa^<2+>が流入することによってミトコンドリアの膜電位が消失し、ATP合成能が低下すること2.ミトコンドリアでは正常時および虚血時ともにCa^<2+>ユニポーターを介してCa^<2+>が流入し、NCXを介してCa^<2+>が排出されることを見出した。またSEA0400はミトコンドリアNCXに直接影響を与えなかったことから、虚血時には細胞膜上のNCXを抑制することによって間接的にミトコンドリア内Ca^<2+>濃度上昇を抑制したと考えられた。すなわち心筋虚血-再灌流障害時にはミトコンドリア上のNCXに作用せずに、細胞膜上のNCXを選択的に抑制する薬物が心保護薬として有用であることが明らかになった。この結果は学会発表済みであり、さらに現在投稿論文を作成中である。
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Research Products
(16 results)