2007 Fiscal Year Annual Research Report
粒子シミュレーションを用いた宇宙プラズマ中に発生する大規模渦についての研究
Project/Area Number |
07J11844
|
Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
中村 琢磨 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 粒子シミュレーション / PIC法 / ケルビン・ヘルムホルツ / プラズマ混合 / 磁気圏境界面 / 磁気リコネクション / flux transfer event / Geotail |
Research Abstract |
本年度は、主に、前年度まで行っていた電磁流体シミュレーション(電子とイオンの2流体シミュレーション)による大規模渦の構造についての解析を、粒子シミュレーションへと応用させるためのコード開発を行った。2流体シミュレーションによって、渦の構造はその内部で発生する磁気リコクションが支配するという結果が得られているので(結果をまとめ現在投稿中)、同様の結果が粒子シミュレーションでも得られるのか、またそこに新たな粒子効果があるのかを確かめることを目標にしている。コード開発過程で、まだ渦の解析ではないが流れを考慮した粒子シミュレーションを磁気リコネクションへ応用させた内容を国内学会で発表した。 一方、人工衛星の観測によって、大規模な渦が発生している地球磁気圏の脇腹領域でプラズマ混合が起こっていることが確かめられているが、同時に、渦が発生しないと考えられている磁気圏前面領域でもプラズマ混合が観測されている。これらプラズマ混合の理由を調べるため、本年度はまず人工衛星Geotailによる観測と2流体シミュレーションの結果を比較することで、磁気圏前面領域で頻繁に観測されるflux transfer event(FTE)と呼ばれる特徴的な磁場変動(磁気リコネクションに関係していると考えられている)の発生条件を求め、その発生理由を解明した。具体的には、磁気圏境界外側の太陽風領域の流れが強い場合に動的磁気リコネクションが発生しそれに伴いFTEが観測されることが分かった。この結果を国内学会、国際研究会で発表した。また、この結果は「流れのある中での磁気リコネクションによるプラズマ混合」という意味で渦内部での磁気リコクションと同じであるため、今後「流れ」を考慮した粒子シミュレーションによる解析を行うことで磁気圏の前面から脇腹領域までを網羅したより普遍的なプラズマの混合過程の解明が期待できる。
|