2008 Fiscal Year Annual Research Report
粒子シミュレーションを用いた宇宙プラズマ中に発生する大規模渦についての研究
Project/Area Number |
07J11844
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
中村 琢磨 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ケルビン・ヘルムホルツ渦 / 数値シミュレーション / 粒子シミュレーション / 磁気リコネクション / プラズマ混合 / 電子加速 / 非線形結合 / 2流体近似 |
Research Abstract |
これまで電子とイオンを共に流体とみなした2流体シミュレーションを用いた大スケール渦についての結果を投稿論文として発表し、本年度は本格的に粒子シミュレーションに取り組んだ。 2流体シミュレーションでは、渦の成長に伴って渦内に発生する磁気リコネクションが渦内のプラズマ混合を効率的に起こす可能性があることを示してきた。しかし、流体計算では粒子の軌道を追えないため、実際にプラズマが混合する過程を捉えることができない。そこで、本年度より、粒子シミュレーションを行い、粒子の軌道を追いながら渦の性質を捉えることを試みた。まず、渦を発生させる条件を満たす初期条件を設定し、粒子シミュレーションを用いて、これまで流体シミュレーションで見られたような大スケール渦が発生することを確かめた。次に、渦を構成する粒子の軌道を追うことで、実際にプラズマが混合する過程を捉えることに成功した。 さらに、渦内で発生する磁気リコネクションは渦内の電子を効率的に加速する性質があることも分かった。磁気リコネクションが電子を加速させる性質があることはいくつかの粒子シミュレーションによって確かめられてきたが、渦内部で磁気リコクションが起こる場合、単独で磁気リコネクションが起こる場合よりはるかに効率的に電子が加速されていることが今回初めて分かった。これは、渦を生み出すプラズマ対流のエネルギーが磁気リコクションを通して電子に伝わるためである。このように、渦の内部で磁気リコネクションが起こることで、効率的なプラズマ混合と電子加速が渦の内部で発生することが分かった。 また、これらの結果を国内外の学会及び研究会で発表した。
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Research Products
(8 results)