2007 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀末イングランドにおける教訓派作家の教育活動に関する研究
Project/Area Number |
07J11857
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
岩下 誠 Aoyama Gakuin University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 教育史 / イギリス近代史 / 児童文学史 / 女性史 / 民衆教育 / 福音主義 / 慈善 |
Research Abstract |
1.具体的内容 (1)資料・史料蒐集と研究交流:9月に渡英し、ハウンスローとイーリングの地方図書館、およびロンドン公文書館を中心に史料蒐集を行い、約2000枚程度の史料を撮影した。社会史関係を中心に、二次文献もほぼ計画通り蒐集した。また、ロンドン大学で開催された学会BERAに参加、およびDavid Crook教授、Richard Aldrich教授らと交流し、研究上の助言を得た。国内では、日本教育学会第66回大会をはじめ、第51回教育史学会大会、比較教育社会史研究会大会に参加し、研究者と交流した。 (2)研究論文:当初の計画通り、a)日曜学校研究のレヴュー論文、b)教訓派作家による教育活動の研究論文の二本を執筆、公表した。 (3)学会発表その他:日本教育学会第66回大会において、近代教育批判の再検討に関するラウンドテーブルの指定討論者として、近代イギリス民衆教育史の視点から報告した。 以上、初年度は、史料蒐集、論文執筆と学会発表、交流のいずれの面でも、計画に掲げた目標をほぼ達成した。 2.意義と重要性 論文a)は、これまで手薄であった内外の日曜学校研究動向をフォローし公教育概念規定の歴史的再検討を行ったもの、論文b)は、18世紀末の福音主義的児童文学作家が担った教育運動の歴史的意味を、フランス革命期におけるイギリス国家体制の再強化と、地域社会における女性の公共圏への進出という文脈から読み解いたものである。研究計画上の位置づけとしては、a)は理論的視座の構築作業であり、b)はそれを政治文化史として適用したケーススタディの試みである。学会発表では、80年代以降の「近代教育批判」の歴史認識の問題性、またそれらの「批判」が当初の批判的意義を喪失している現状を指摘した。これも、現在の教育学研究の理論的枠組みに関する歴史的相対化に寄与するという意味で、本研究の理論的視座の構築作業の一部をなしている。
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Research Products
(3 results)