2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J11886
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 喜重 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミトコンドリア核 / 真正粘菌 |
Research Abstract |
本研究では、ミトコンドリア核を構成する新規タンパク質の同定と機能解析を行い、それらのミトコンドリア核構造への関わりを明らかにすることを目的としている。昨年度までに、真正粘菌では困難であった標的遺伝子の発現抑制法の新規開発に成功した。今年度は、その新規開発した手法を基に、主に、初年度にDNA結合タンパク質として同定していたp56とp34の機能解析をさらに進めた。その結果、p56が、ミトコンドリア核の構築を担うヒストン様タンパク質であるGlomと同様に、構造形成およびミトコンドリアDNA(mtDNA)の維持、さらに単独でミトコンドリアRNA蓄積量の維持に重要に関わっていることがわかった。これまで、ヒトを始めとする動物や菌類における解析で、ミトコンドリア核を構築するヒストン様タンパク質として1種類のタンパク質しか見つかっていなかった。そのため今回、単独のタンパク質ではなく、複数のタンパク質(Glomとp56)が協調してミトコンドリア核構造の構築やmtDNAの機能発現制御に関与していることを明らかにしたことは、ミトコンドリア核のより複雑な構築様式を示唆するものである。さらに、p34がミトコンドリア核の一部の領域に局在し、リボヌクレース活性をもつことを示した。これは、ミトコンドリア核が均質な構造ではなく、ミトコンドリアRNAの成熟を担うような機能的な領域に区画化されている可能性を示唆している。本研究で得られたこれらの成果は、真核生物におけるミトコンドリア核の分子構築ないしmtDNAの機能発現制御の全貌を理解していくうえで極めて重要な知見であるといえる。本研究成果の一部は、既に査読有雑誌に発表済であり、残りも現在投稿中である。
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Research Products
(5 results)