2008 Fiscal Year Annual Research Report
産卵鶏における各種飼育システムの総合評価および攻撃性の行動遺伝学的研究
Project/Area Number |
07J11909
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
新村 毅 Azabu University, 獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 行動学 / 動物福祉 / 福祉評価法 / 産卵鶏 / 母子行動 / 行動遺伝学 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度実施した6つの産卵鶏用飼育システムの総合評価および新型ゲージシステムの開発の2つのプロジェクトに関する結果を、学術雑誌に投稿し、合計6編の論文が国際雑誌に受理された(全て英文・筆頭筆者)。また、これらの成果は、国内学会でも高く評価され、日本家禽学会および日本家畜管理学会から優秀発表賞を受賞した。今年度実施した総合福祉評価法の開発については、代表的な評価法であるANIと比較して福祉レベルの検出力が高く、国際的なプロトタイプとしての利用価値が高い評価法を開発した。今年度は、この総合福祉評価法の開発に加え、生後初期における母子行動が雛の行動・性格に及ぼす影響についての評価も実施した。この研究では、母鶏の存在により、雛の行動の発達が促進され、不安性が著しく低下するという結果が得られた。この中で、母鶏の行動、特にfood-callなどの発声がそれらの行動発達を誘起していることなどが示唆された。この結果は、マウスと同様に、DNAのメチル化により、生後初期の母子行動の効果が成熟後の環境エンリッチメントの効果を凌駕する可能性を示唆している。それについては、今後、中・大雛と追跡調査し、さらには成熟後の環境を単調にした区とエンリッチにした区を設定することで、生後初期の母子行動と成熟後の環境エンリッチメントのどちらがより重要であるかの結論を導き出す予定である。行動遺伝学的研究については、数種の行動テストなどを考案して実施したものの、実験系に当てはまる品種が見受けられなかった。そこで、直接攻撃行動に着目するのではなく、間接的なアプローチにより攻撃性を将来的に低下させる実験計画を考案した。現在、名古屋大学に実験場所を移し、その実験計画に必要な情報・技術などを習得するための予備実験を実施している段階である。
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Research Products
(12 results)