2009 Fiscal Year Annual Research Report
産卵鶏における各種飼育システムの総合評価および攻撃性の行動遺伝学的研究
Project/Area Number |
07J11909
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新村 毅 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 行動学 / 動物福祉 / 福祉評価法 / 産卵鶏 / 母子行動 / 行動遺伝学 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度実施した6つの産卵鶏用飼育システムの総合評価および福祉評価法の開発の2つのプロジェクトに関する結果を、学術雑誌に投稿し、合計4編の論文(研究論文3編;総説1編)が国際雑誌に受理された(全て筆頭筆者;研究論文は全て英文)。今年度の研究実施計画として挙げた研究は4つであり、それらのテーマおよび研究実施状況は次の通りである。1.現場適用型ファーニッシュドケージの開発:既存の従来型ケージを利用したファーニッシュドケージを考案し、従来型ケージとウェルフェアレベルを比較することで、その有用性を評価した。結果として安価で簡易的なファーニッシュドケージを開発することに成功し、またそれは、生産性を維持しつつも行動を多様化させウェルフェアレベルを向上させるものであった。2.福祉評価法の現場適用:これまでに開発した総合福祉評価法を用いて、実際の養鶏場のウェルフェアレベルを評価した。約10件の飼育システムを評価し、各飼育システムの長短所を明確化した。さらに同一システム内においても、ウェルフェアレベルを低下させうる要因を抽出することができ、福祉評価法の有用性は高いことが示唆された。3.母子行動の永続的効果:幼少期に母鶏が存在することで、著しいウェルフェアレベルの向上が認められた。母鶏と別飼育した後の永続的効果について検討を行ったところ、羽毛つつきなどの問題行動の頻度が大きく低下するなど、永続的効果を有することが示唆された。4.行動遺伝学的研究:間接的にウェルフェアレベルを向上することを目的とし、名古屋大学において発声に関する行動遺伝学的研究を実施した。in situ hybridizationやPCRなどの基本的な分子生物学的技術を習得し、発声の遺伝様式や体内メカニズムなどについて継続的に実験を実施している状況である。
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Research Products
(8 results)