2007 Fiscal Year Annual Research Report
地上デジタル放送の教育的利用の効果に関する研究-制作者と教師への提言に向けて-
Project/Area Number |
07J11931
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
田島 祥 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 教育工学 / 地上デジタル放送 / 教育活用 / ICT |
Research Abstract |
地上デジタル放送は、従来のアナログ放送にはない特徴を多数有しており、教育利用への効果が期待されているものの、その影響や効果は実証されていない。特に,高画質・高音質といった特徴は、コンテンツを「映像そのものとして捉える」とが可能になり、子どもの興味・関心や学習意欲を向上させることが期待される。そこで本年度は、小学生を対象に、同一単元の授業について「デジタル放送を用いた授業」(実験群)と「従来の教授方法による授業」(対象群)を行い、その教育活用の効果を検討した。ワークシートを用いて、記述内容や気づきの観点等を分析することにより、授業時の学習意欲や知識・理解、授業の1週間後の知識の定着等をクラス間で比較した。 得られた成果として、以下の点が挙げられる。まず、授業時の知識・理解については、実験群と対照群に差はなく、地上デジタル放送を用いた授業でも、従来の教授方法による授業と同様の高い達成度が得られた。また、ワークシートのコメントについては、実験群の方が多様な観点からの記述がみられ、気づきの観点が広がるとう効果がみられた。一方で、コンテンツによっては対照群の方が気づきの観点が多いこともあり、コンテンツ選びの重要性が指摘された。しかしながら、いずれのコンテンツでも、授業の1週間後に記述したワークシートでは、実験群の方が対照群よりも気づきの観点が多く、知識の定着に効果が見られた。また、評価方法としては、文章記述だけでなく、描画を併用することで、より多くの地上デジタル放送の効果が検出されることが明らかになった。一方で、授業で活用できる地上デジタル放送のコンテンツは十分ではなく、より多くのコンテンツが提供される必要があることや、単にコンテンツを視聴するだけでは、従来の教授方法以上の効果は得られず、視聴前後の教員の言葉掛けや、学級全体での振り返り等が重要であることが示唆された。
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