2008 Fiscal Year Annual Research Report
生鮮植物組織の凍結・解凍後における復元性向上に関する研究
Project/Area Number |
07J11965
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 寛子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 農産物 / 冷凍 / 低温 / 疎水性ガス / 水の構造化 / ガスハイドレート / NMR / X線回折 |
Research Abstract |
冷凍保存技術は食品の劣化を長期に渡り防ぐ保存法として、様々な食品に利用されている。しかし、生鮮野菜組織は、冷凍プロセスにおいて激しいダメージを受け、解凍後の品質を著しく低下させてしまう。そのため、冷凍保存に変わる新しい長期保存技術の開発が望まれている.そこで、本研究では、「キセノンガスを用いたガスハイドレー形成を利用した生鮮農産物の低温保存法」という、新たな生鮮農産物の低温保存法を提案すること目的とした。ガスハイドレート現象は生物代謝を抑制する原因1つと考えられており、本保存法はその効果を期待した保存法である。しかし、生物組織体においてはガスハイドレートの形成が明確に示されていない。そこで、本年度は、この新しい保存法提案のための基礎知見として、組織内でガスハイドレートの形成を明確にすることを目的した。 キセノン分圧0.8MPa、5℃の雰囲気下でタマネギ組織を保存すると、数時間後、結晶様物質が形成した。このタマネギ組織を、低温粉体X線回折装置(Rigaku model Ultima III、Rigaku)を用いて測定した結果、タマネギ組織においてもI型のキセノンハイドレートが形成することが示され、生物体においても、水同様にハイドレートが形成することを明確に確認することができた。さらに、X線回折測定に併せて、パルスNMR(MU25A,JOEL)を用いたソリッドエコー法による測定を行った結果、両測定法で得られた組織体内のハイドレート含最は、ほぼ一致することが示された。よって、NMR測定は、組織体内で形成されるハイドレートの形成を、非破壊で連続的に検出できる方法であることが示された。 以上、本年度の研究において、農産物組織体内でのハイドレート結晶形成を明確にし、その非破壊かつ連続的な測定方法を示したことは、本保存法を確立するに必要な基礎知見であると考えられる。
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Research Products
(9 results)