2009 Fiscal Year Annual Research Report
超構造転写を利用する無機界面への官能基集積と分子形状識別への応用
Project/Area Number |
07J11979
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
春藤 淳臣 National Institute for Materials Science, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 超分子 / ホスト-ゲスト / ポルフィリン / キラリティー / エナンチオ過剰率 / RGBカラー / 指示薬 / フラーレン |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは新しいホストーゲスト化学を目指すもので,官能基を規則正しく集積化させた界面(エキソレセプター)を創出し,優れた分子形状識別を引き出すことを目的としている。具体的には,自己組織的に形成される分子膜の高配向構造を安定化あるいは構造転写することによって,新規なホスト分子を開発する。昨年度までに,ピロールユニットを環状に集積化させたホスト分子を開発しており,ゲスト分子との相互作用を色や蛍光などに情報変換できることを明らかにした。これらの機能をさらに発展的に利用する次のステップは,ホスト分子をさらに集積化,階層構造化することであり,親疎水性のバランスや相互作用の制御などを考慮しながら緻密に分子デザインする必要がある。そこで,本年度は英国・オックスフォード大学のHarry L.Andersonグループにて分子デザインに関する知識を学び,新たなホスト分子の合成と集積化に取り組んだ。得られた主な成果を以下に示す。 1.π-π相互作用が期待できるポルフィリンの共役ホスト高分子を合成した。また,ランタノイドとの錯体化を利用して,ポルフィリンユニットの配列・集積化を試みた。平成21年度優秀若手研究者海外派遣事業の助成課題。 2.ホスト分子として,ポルフィリンの環状三量体を合成した。UV-visスペクトル滴定によって,有機溶媒中でフラーレンと強く相互作用することが明らかになった。 3.ゲスト分子のキラル情報をNMRシグナルに翻訳できるアキラルなホスト分子を開発した。さらに,この系を利用してキラルなカルボン酸のエナンチオ過剰率を算出することに成功した。研究成果はJACSに掲載,Nature Chemistryにハイライトされた。 4.非極性溶媒中でゲストの酸性度をRGBカラーとして可視化できるホスト分子を開発した。また,広範囲のスルホン酸やカルボン酸,アミン類に適用可能であること,非極性溶媒中にもかかわらず塩基滴定の当量点が判別できることなどが明らかになった。
|
Research Products
(6 results)