2008 Fiscal Year Annual Research Report
有毒ラン藻殺滅ファージの宿主消滅過程における分子生態学的解析とその感染の分子機構
Project/Area Number |
07J11988
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
吉田 ゆかり Fukui Prefectural University, 生物資源学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | アオコ / ラン藻 / バクテリオファージ / ミクロキスティス / リアルタイムPCR |
Research Abstract |
有毒アオコ原因ラン藻M.aeruginosa対シアノファージの生態学的相互関係を解明するため、本年度は調査範囲を拡大し、定量PCR法を用いて環境中のM.aeruginosaとその感染性ファージの動態解析を行った。その結果、昨年度に得られたM.aeruginosa細胞数の減少時にファージ粒子数が急激に増加する現象が、様々な湖沼で普遍的に認められることを明らかにした。また、本因子による溶菌作用はM.aeruginosa群集内の有毒個体群と無毒個体群の組成変動にも影響し、本種の有毒個体群の発生を抑制することを見出した。このような事象が今回調査を行った全ての水域に対して見出されたわけではないが、ある特定の水域・季節において、シアノファージがM.aeruginosa種内の異なる個体群の構成に影響を与えている可能性が考えられた。さらに、定量RT-PCR法を用いたファージ感染細胞の検出法を開発し、本法により、環境中においてM.aeruginosaが常に高い割合でファージ感染を受けていることを明らかにした。さらに、M.aeruginosa感染性ファージMa-LMM01のゲノム解析を行った結果、そのゲノム上に光合成色素タンパク質分解関連遺伝子nblAが見出されたので、感染過程における本遺伝子の機能解析を行った。その結果、本ファージは、感染時に宿主のフィコシアニンを分解し、過剰な光エネルギーの捕集を抑制することで、安定なファージ産生を進行させていると推察され、これまでの光合成微生物に感染するファージとは異なる新奇な増殖戦略を有することが強く示唆された。
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Research Products
(6 results)