2007 Fiscal Year Annual Research Report
2次元フォトニック結晶ナノ共振器における光子・電子相互作用に関する研究
Project/Area Number |
07J12037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 真 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フォトニック結晶 / 量子ドット / Purcell効果 / cavity-QED |
Research Abstract |
本研究では,2次元フォトニック結晶ナノ共振器と量子ドットを組み合わせ,光子・電子の量子的相互作用を積極的に用いることで,効率的な光子放出や新たな量子状態の創出を目指している.特に,弱結合領域では,共振器のQ値とモード体積の逆数1/Vに比例して量子ドットの発光遷移割合が増加する(Purcell効果)ことが知られており,この効果を用いて高効率な発光デバイスの作製が期待されてきた.しかし,このこの効果を予測する理論は未だ発展途上にあり,ナノ共振器と量子ドットの発光を解析するには不十分であった.特に,『ナノ共振器と量子ドットが弱結合領域から強結合領域にどのように遷移していくのか』について十分答えることができなかった.この影響を調べることは,上述の目標,つまり,効率的な光子放出や新たな量子状態の創出において非常に重要な課題である.そこで本年度は,この影響を解析できる理論を構築した.その結果,弱結合・強結合領域の遷移領域において量子ドットの発光遷移割合が最大となる条件が存在することが明らかとなった.この条件は,量子ドットが共振モードへ光子を放出する速さ(結合定数)と共振モードの光子寿命を整合させることにより達成できる.したがって,理想的な状況下においては,量子ドットの発光効率を最大にすることができ,発光デバイスの効率を最適に設計することが可能であることがわかった.この結果は,上で述べた効率的な光子放出につながる重要な知見であると考えている.しかしながら,現実には量子ドットの環境系(周りに存在する電子や音子)が及ぼすは重要であり,必ずしも理想的な状況を実現するのは困難である.そこで,今後の研究では,本年度構築した理論をより発展させて,環境系まで含めたより詳細な解析を進めるとともに,実験との比較・検証も進めていく予定である.
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Research Products
(4 results)