2007 Fiscal Year Annual Research Report
米国での技術教育教員養成の認証制形成過程における作業分析法の役割
Project/Area Number |
07J12939
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
木下 龍 Ferris University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 技術教育教員養成 / 認証制 / 作業分析法 |
Research Abstract |
本研究の目的は,教員養成に対する大学人の主体性確立の方途を探るべく,米国での技術教育の教員養成の認証制形成過程における作業分析法の役割を解明することである。 平成19年度の主要な作業課題は,こうした認証制の樹立に指導的な役割を果たし,また,技術教育のためのカリキュラム開発論である作業分析法の開発者として知られるフリックランド(V. C. Fryklund, 1896-1980)の技術教育およびその教員養成に関する教育研究活動を分析することであった。分析にあたっては,彼の勤務したスタウト大学の教授会議事録などの資料調査および関係者への聞き取り調査を試みた。 分析の結果,フリックランドが,スタウト大学の認証をめぐる北中部協会との交渉と妥協の経験をバネに,アメリカ教師教育大学協会に「専門分野ごとの認証制」を認めさせ,関係する専門職団体をまきこみ,自ら検討委員会の議長になって,技術教育の教員養成に関する認証制の事実上の開始とみられる全国産業科教師教育認証制検討委員会『産業科教師教育の認証』(1958年)を8年間かけて制定させた経緯と,その認証基準の内容的特徴として,(1)評価基準の多くは人的・物的教育条件に関わるものであった点,(2)教員養成のカリキュラムに関する基準は8項目と最も少なく,それらは,開設科目の種類や内容ではなく,そのあるべき方向性を抽象的に示すものであった点,(3)学生の自主的な活動の尊重など学生の自治能力の発達保障が意図されていた点,(4)大学教員の自治能力の問題も項目化されていた点を指摘した。こうした歴史的事実を従来の米国教員養成史研究の文脈に照らすならば,フリックランドは,それまで格差づけられてきた技術教育の教員養成に関する自治権を,技術教育に関わる学協会に獲得させ,この意味において技術教育の教員養成を専門職にふさわしいものにしていく上で重要な貢献を果たしたと評価できた。
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Research Products
(2 results)