2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代中国の卵、獣骨、皮革を中心とした畜産品貿易に関する総合的考察
Project/Area Number |
07J12943
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
吉田 建一郎 The Toyo Bunko, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近代中国 / 皮革 / 製革 / 上海 / 山東 / 獣骨 / 骨粉 |
Research Abstract |
本年度の主な研究成果は次の2点である。(1)19世紀末〜20世紀前期の中国で、皮革や皮革製品の輸出入貿易がどう推移し、また製革工業がどのようい発展したかについて、上海に焦点をあてて検討を進めた。検討の成果は口頭報告と論稿の形でまとめた。概要は次の通りである。(1)19世紀以降、中国では軍事関連品の需要拡大や"西洋化"志向の高まり、工業化の進展などにより、革や革製品の輸入が活発化した。(2)(1)の状況のもと、上海では新式、準新式の製革工場と伝統的生産方式を採用する「皮坊」が、中国の豊富な生皮資源のほか、世界各地に分布する鞣しや染色の材料、海外から導入した機械などに依って製革に従事し、革需要の増加に対応した。そして1930年代初期までに、上海では靴底革をはじめ一部の品目で、市場シェアにおいて中国製品が外国製品に対し優勢を確保した。(3)近代中国の製革業の発展が中国製品と外国製品との関係にもたらした変化は綿紡績業ほど明確ではなかった、中国における革や革製品の需給関係の変化に一定の影響を及ぼした点は確認されねばならない。(2)19世紀末〜20世紀前期における山東省産獣骨の輸出貿易について、史料の収集と分析を進めた。その結果、山東省内の経済、政治の動向に加え、第一次大戦後の欧州諸国のインド産骨粉に対する需要増加、天津における獣骨貿易の発展、鹿児島の開港(1918年)など多様な要素が、貿易の展開に影響を及ぼしていたことが明らかになった。そして今後、より踏み込んだ史料収集と分析を行うことにより、向こう約1年で成果を活字化しうる見通しを得た。またこの研究の主要史料(『青島実業協会月報』『青島商業会議所月報』『経済週報』)の記事目録と解題を作成した。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article]2008
Author(s)
国立彰化師範大学歴史学研究所, 編
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Journal Title
第三届白沙歴史地理学術討論会〈環境変遷与歴史地理〉論文集(国立彰化師範大学歴史学研究所)
Pages: 19-31
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