2008 Fiscal Year Annual Research Report
ずり流動場が誘起する高分子がグラフトされた分子膜の粘弾性相転移
Project/Area Number |
07J12950
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
菅沼 有希子 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 国際研究者交流 / スウェーデン / 非平衡物理学 / レオロジー / 非イオン性界面活性剤 / 分子集合体 / 粘弾変化 / マルチラメラベシクル |
Research Abstract |
界面活性剤が形成するラメラ構造に、ずり流動場を印可すると、膜の曲げが誘起され、その結果多層膜構造(オニオン構造)を形成することが知られている。また一方で、高分子を膜にグラフーさせると、高分子のコンフォーメーションエネルギーが、膜の曲げ弾性率とガウス曲率を変化させる。本研究の目的は、この2つの成分(ずり流動場+グラフー高分子)をカップリングさせ、このときの構造転移のシステムを明らかにすることである。 研究テーマは2つあり、1つはメソスケールの構造変化であるオニオンのサイズ変化と、ずり速度上昇に伴って粘度が減少するマクロスケールの粘度変化を結びつけ、2つの階層を連続的に繋ぐモデルの設立を目的とした。非イオン性界面活性剤C_<12>E_4の濃度を変化させ、様々な膜間隔を持つラメラ構造を用意し、ずり流動場によって誘起されるオニオン構造のサイズ変化を偏光解消光散乱法により測定した。その結果、オニオンサイズはずり速度の上昇とともに減少し、粘度とオニオン間距離の間には、膜間隔によらず、比例関係があることを見いだした。 もう1つのテーマは、温度とずり速度に依存して2次元の最密充填構造(ハエカム構造)にパッキングされるオニオン構造に注目し、その形成メカニズムを明らかにすることを目的とした。小角X線散乱実験から膜の相関を、小角光散乱実験からオニオンのサイズとパッキングの状態を調査した結果、ハニカム構造にパッキングされる際、オニオンのサイズは2〜3倍上昇していることが分かった。また無秩序なオニオン構造からハニカム構造への転移課程において、徐々にサイズが変化最密充填構造へと転移するような連続的な変化は見られず、無秩序なオニオン構造から別の中間構造に転移し、それからハニカム構造が形成される不連続な転移が生じていることが分かった。
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Research Products
(3 results)