2007 Fiscal Year Annual Research Report
ずり流動場が誘起する高分子がグラフトされた分子膜の粘弾性相転移
Project/Area Number |
07J12950
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
菅沼 有希子 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 国際研究者交流 / スウェーデン / 非平衡物理学 / レオロジー / 非イオン性界面活性剤 / 分子集合体 / 粘弾相転移 / マルチラメラベシクル |
Research Abstract |
界面活性剤が形成するラメラ構造に、ずり流動場を印可すると、膜の曲げが誘起され、その結果MLV(Multi-lamellar Vesicle)構造を形成することが知られている。また一方で、高分子を膜にグラフトさせると、高分子のコンフォーメーションエネルギーが、膜の曲げ弾性率とガウス曲率を変化させる。本研究の目的は、この2つの成分(ずり流動場+グラフト高分子)をカップリングさせ、このときの構造転移のシステムを明らかにすることである。 初年度である今年度は、ずり流動場によって誘起されるラメラ-MLV構造転移について研究してきた。特に温度とずり速度に依存して、2次元の最密充填構造(ハニカム構造)にパッキングされるMLVに注目し、その形成メカニズムを明らかにすることを目的とした。この研究はスウェーデン、Lund大学のUlfOlsson教授との共同研究であり、19年度4〜10月の間、Olsson教授の研究室に行き研究を行い、帰国後も引き続き進めているテーマである。ずり流動陽下での小角X線散乱実験、偏光顕微鏡観察を行った結果、平衡状態でラメラ相を形成する温度領域の、ちょうど中心の温度で、ハニカム構造が形成されることが分かった。また、ハニカム構造を形成する温度領域でのみ、MLVのサイズが2倍以上大きくなっている事が分かった。さらに、粘弾性測定を行った結果、MLVのサイズと反比例するといわれているずり弾性率は、ハニカム構造の温度領域で減少し、粘弾性測定というマクロスケールで捉えた実験結果と、メソスケールで捉えた実験結果は一致している。今後は、まとめとしてずり流動場下での小角光散乱実験を行い、ハニカム構造を形成する温度において、2枚膜を形成する向かい合った1枚膜のパラメータが、どう変化してハニカム構造を形成するのか考察して行く予定である。
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Research Products
(8 results)