2007 Fiscal Year Annual Research Report
3次元MUDを使用した効果的な国際交流に関する研究
Project/Area Number |
07J12958
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
松尾 由美 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 国際理解 / 接触仮説 / 3次元MUD |
Research Abstract |
本研究では、3次元MUD上でどのような国際交流が効果的であるのかを明らかにすることを目的に、実験研究を行った。先行研究では、相手が民族衣装を着ているなど集団カテゴリが顕現化されている場合には、交流相手だけではなく、交流相手国民全体に対する好意が高まることが示されている。その一方で、カテゴリ顕現性が高すぎると、集団間不安が高まり、交流の妨げになることも指摘されている。そこで、最近の研究では、民族衣装を着て顕現性を維持した上で、自分自身に関する話題について話すなど個人間の友情を高める交流が効果的であることが示されている。 そこで、本研究では、外見や背景を容易に変更・設定できる3次元MUDの特徴を活かし、交流相手と自分自身の外見(分身であるアバターの服装)を操作した。また、会話のテーマについて、自分について話す条件と、自分の国や文化について話す条件を設定した。 日本人女子大学生・大学院生90名が、3次元MUD上でチャットを使った中国人留学生の実験協力者との交流に参加した。個人に関わる質問か、あるいは、文化や国に関わる質問を互いに相手に質問しあうという交流を行い、その際の自分の分身の服装も、「私服条件」と「民族衣装条件」を設定した。 実験前から交流相手国(中国)の友達とのつきあいが少ない人では、民族衣装を着て自分について話した時に、交流相手国の人に対して肯定的な態度を抱き、先行研究と一致する結果が得られた。一方、普段から中国の友達とつきあいが多い人では、民族衣装を着て、文化について話した時に、交流相手国の人に対して肯定的な印象が高まった。普段から交流相手国の人とのつきあいがある人は、外国人と接する際の不安などが生じにくいため、顕現性が高い方が般化の効果が生じやすいと考えられる。以上の結果から、3次元MUD上での交流は、参加者の交流前の経験により効果的な交流内容が異なることが示唆される。
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