2007 Fiscal Year Annual Research Report
女性の性行動・社会行動の類型に関する社会生理心理学的研究
Project/Area Number |
07J12961
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
坂口 菊恵 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | ホルモン / テストステロン / 唾液 / エストラジオール / DHEA / 季節性 / 女性 / 男性性 |
Research Abstract |
報告者は,先に日本人女性唾液中のテストステロン(卵巣と副腎を起源とする男性ホルモン)濃度に大きな季節変動があること,およびテストステロンが高濃度の季節においてのみ,テストステロン濃度と男性的行動特性との間に正の相関が見られることを見いだした.本年度は,副腎性の男性ホルモンであるデヒドロエピアンドロステロン(DHEA,代謝されテストステロンとなる)濃度の季節変動が女性のテストステロン濃度の季節変動の要因となっている可能性を検討し,またDHEA濃度と行動特性との間の関連を検討した. その結果,エストラジオール(代表的な女性ホルモンで,テストステロンが代謝されて主に卵巣で作られる)濃度に季節変動が見られない一方,DHEA濃度に冬に高く,夏・秋に低いというテストステロンと同様の季節変動が見られたことから,繁殖年齢の日本人女性におけるテストステロン濃度の季節変動は副腎由来である可能性が示唆された.こうしたホルモン動態のパターンは日照時間の季節変動が原因と考えられる北欧での報告とは対照的であり,ヒトの性ホルモン濃度の季節変動の要因は居住地域によって異なることが示唆された. またテストステロン濃度の低い季節ではDHEAが女性の行動特性の個人差(短期的な配偶戦略への指向性,セルフ・モニタリング,および子どもの頃の遊びの男性性が高い傾向)と相関していることを示した.これは,テストステロン濃度が低い季節でも,DHEA濃度が女性の内分泌的な男性性を示す指標として利用できる可能性を示した.
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Research Products
(14 results)