2008 Fiscal Year Annual Research Report
女性の性行動・社会行動の類型に関する社会生理心理学的研究
Project/Area Number |
07J12961
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
坂口 菊恵 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 性同一性障害 / FtM / 唾液 / ホルモン療法 / テストステロン / 代謝 / ジヒドロテストステロン(DHT) / DHEA |
Research Abstract |
女性から男性への性別移行希望者(FtM性同一性障害者)の研究参加者を得て、経時的な唾液採取および心理指標・身体指標の測定を行っている。5ヶ月〜6年5ヶ月にわたり、エナント酸テストステロン(男性ホルモン)250mgの筋肉注射を継続しているFtM性同一性障害者の間でテストステロンとその代謝産物であるジヒドロテストステロン、アンドロステンジオン、および代謝産物であり女性ホルモンであるエストラジオール濃度のホルモン濃度の変化を追跡した。年齢や投与期間による目立ったホルモン濃度の違いは観察されなかったが、子宮・卵巣摘出手術済みの性同一性障害者では男性ホルモン濃度が異常な高値を示した。こうした特徴が彼らのもともとの代謝上の特異性によるものなのか、内性器摘出により正常なホルモンフィードバックメカニズムが機能しなくなったことによるのかは、今後の分析により明らかにすべき課題である。 さらに、男性ホルモン投与の社会的機能におよぼす効果の評価として、声のピッチ(基本周波数の音の高さ)およびフォルマント間隔(声質)への影響を分析した。その結果、筋肉や声帯襞の厚みや長さといった軟組織の状態に依存し、短期間のホルモン投与の影響が予想されるピッチのみならず、声道の長さや形状など、骨・軟骨の形状に依存すると考えら得るフォルマント間隔においても、1.5ヶ月以上ホルモン投与を受けているFtM性同一性障害者では一般男性に匹敵していた。男性ホルモン投与をまだ始めていないFtM性同一性障害者の声はピッチ・フォルマント間隔共に一般女性と同等であった。
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Research Products
(10 results)