2007 Fiscal Year Annual Research Report
試験管内再生系による中枢ミエリン形成のメカニズムの解析
Project/Area Number |
07J13115
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
宮本 幸 National Research Institute for Child Health and Development, 薬剤治療研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | オリゴデンドロサイト / ミエリン / 中枢神経系 / 共培養 / 分化 / DRG神経細胞 |
Research Abstract |
中枢神経系のミエリン形成は、オリゴデンドロサイトとニューロンの相互作用によって形成される。その形成過程に関与する分子は徐々に明らかになってきているものの、詳細な分子機構に関しては依然として不明な点が多く残されている。これらを解析するための準備段階である1年目は、オリゴデンドロサイトとニューロンの共培養系の構築を主要な課題として掲げた。現在までに、胎生16日目のラット大脳皮質から数回の継代とペトリ皿を用いた独自の培養法により、高純度のオリゴデンドロサイト前駆細胞を安定的に単離することに成功している。このオリゴデンドロサイト前駆細胞を用いて、DRG神経細胞との共培養を試みた。数週間の共培養後、ミエリン形成のマーカータンパク質である特異的抗体により免疫染色を行ったところ、高頻度ではないものの、ミエリンの形成を確認することができた。今後さらに培養条件を検討することで、ミエリン形成効率の上昇をめざすと同時に、オリゴデンドロサイトと大脳皮質ニューロンとの共培養系の構築にも着手する。さらに、これら共培養系の構築と並行して、オリゴデンドロサイトのミエリン形成過程のうち、分化過程を司るメカニズムを詳細に検討した。その結果、ニューロンから放出されるリガンドが、オリゴデンドロサイト上の受容体を活性化し、それにより細胞内キナーゼの活性化が引き起し、最終的に細胞骨格タンパクのリン酸化を介して、オリゴデンドロサイトの分化を促進していることを見出した(研究成果2)。このように、オリゴデンドロサイト前駆細胞を用いて、ミエリン形成過程、さらにニューロンとの共培養系を用いて、オリゴデンドロサイトとニューロンの相互作用によるミエリン形成過程を体系的に解明することで、今後のミエリン形成の分子機構研究に新たな展開を導くことが期待される。
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Research Products
(5 results)