2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J13124
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 朋子 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アデノウイルス / 自然免疫 / RIG-I / IPS-1 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
アデノウイルス(Ad)ベクターは既存のベクターの中では最も遺伝子導入効率に優れており、in vivoでの遺伝子導入も可能なことから、種々の疾患に対する遺伝子治療用ベクターとして使用されている。しかしながら、Adベクターを用いた遺伝子治療臨床研究において投与後初期に生じる炎症等の自然免疫応答の誘導が最も問題となっている。実際、Adベクターを動物個体へ投与した場合、炎症性サイトカインの産生をはじめとする自然免疫が惹起されることが知られており、Adベクターの安全性向上のためには、Adにより誘導される自然免疫応答のメカニズム解明が必要であると考えられる。前年度、MyD88欠損およびTLR9欠損マウスより調製した樹状細胞もしくはマクロファージにAdベクターを作用させた結果、樹状細胞ではMyD88/TLR9依存的に、マクロファージではMyD88/TLR9非依存的にIL-6産生が行われており、細胞種によってAdベクターによる炎症性サイトカイン産生経路が異なることを明らかにした。そこで、本年度では、TLR非依存経路に関わる分子として、現在までにウイルスを認識する受容体として報告されているRIG-IやMda5ならびに、それらの分子のアダプター分子であるIPS-1に着目し検討を行った。その結果、IPS-1欠損マウス由来線維芽細胞にAdベクターを作用させると、野生型マウス由来細胞と比較しIFN-βの産生が顕著に抑制された。一方、RIG-IもしくはMda5欠損マウス由来細胞では野生型マウス由来細胞と同程度のIFN-βが産生された。このことから、線維芽細胞におけるAdベクターによるIFN産生にIPS-1が関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)