2008 Fiscal Year Annual Research Report
第一言語・第二言語における日本語指示詞コ・ソ・アの習得過程
Project/Area Number |
07J13254
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
孫 愛維 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 指示詞習得 / 台湾人の日本語学習者 / 学習環境 / 第二言語環境 / 外国語環境 |
Research Abstract |
第二言語習得理論と実際の経験的見地から、学習環境が第二言語習得を左右する重要な変数であると見なされてはいるか、実証研究に基づいた学習環境の影響の究明が待たれる。そこで、本研究は指示詞習得を取り上げ、縦断的及び横断的観点、またインタビュー(言語運用)及び質問紙調査(言語知識)により、日本国内で日本語を勉強している学習者(第二言語としての日本語学習者、以下JSL)と自分の母国で日本語を学習している学習者(外国語としての日本語学習者、以下JFL)の習得結果に着目し、そこに学習環境がどのように関与するのかについて調査した。その結果、JFLはJSLより「コ」系が観察された一方、コミュニケーション・ストラテジーという機能を持つ「ア」系がJSLのみ出現した。それに、使用頻度においては、JSLがJFLより遥かに頻繁に指示詞を利用することが明らかになった。その上、実際に指示詞の学習・使用時に感じたことについて、JSLとJFLに分けて検討してみると、全般的にJFLよりJSLの方が指示詞の伝達役割を認め、指示詞の使用に対する自信があるという傾向が見受けられた。学習ストラテジーに関しては、JSLの方がJFLより「メタ認知ストラテジー」と「社会ストラテジー」を多用する傾向がある一方、JFLの方がJSLより教師や教材に依存する傾向が窺がえる。しかし、JSLとJFLに共通したことが見出された。指示詞の正用の出現順序はJSLとJFLと共にコ系→ソ系→ア系である。また、日本語指示詞の第一言語・第二言語習得過程に関しては、細かい点では異なっている部分があるが、類似した発達パターンを示した。このことから、学習環境の違いに関わらず、共通する指示詞の習得順序があり、学習環境は指示詞をどのような順で習得するかといった習得過程のパターンには影響を及ぼさないことが浮かび上がってくる。
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Research Products
(4 results)