2008 Fiscal Year Annual Research Report
アナモックスと硫黄脱窒細菌群を利用した革新的超低コスト型窒素除去プロセスの開発
Project/Area Number |
07J13269
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
阿部 憲一 Nagaoka University of Technology, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 低アンモニア含有廃水 / 一槽型窒素除去システム / 散水ろ床リアクター / 亜酸化窒素 / 低酸素濃度 |
Research Abstract |
前年度の研究報告書に記載したとおり,海水添加による亜硝酸型硝化の制御は困難であることが明らかとなったので,今年度は「都市下水レベルの低アンモニア含有廃水の処理を目的とした低酸素濃度制御での一槽型亜硝酸型硝化-Anammox窒素除去システムの開発」に着手した。また本システムの開発と同時進行で、窒素除去システムからのN_2Oガス(CO_2の310倍の温室効果強度をもつ)の発生についても調査を開始した。主な検討項目と得られた結果を以下に記した。 1.N_2O発生における影響因子の調査:本リアクターの立ち上げは酸素濃度制御を行わず、硝化リアクターとして運転を開始した。処理水質が安定したところで、N_2O発生の影響因子に挙げられている各因子(NH_4^+,NO_2^-およびO_2濃度)について、その影響を調査した。その結果,低O_2濃度+高NO_2^-濃度条件下でN_2O発生率が5倍程度増加することが明らかとなった。このことより,本システムのようにNO_2^-を残存させない亜硝酸型硝化-Anammox窒素除去プロセスは,N_2O発生量の削減が可能であることが示唆された。 2.低濃度NH_4^+廃水への適応:低酸素濃度条件下で低濃度NH_4^+廃水(50mg-N/L)を供給した際に,亜硝酸型硝化または処理水でのN消失(=脱窒反応によるN_2ガス化)が起こるかどうかを検証した。2ヶ月程度の運転期間中,除去されたNH_4^+の50%程度がN消失されていることが確認された。一方で,低酸素条件下(酸素分圧1%以下)にも関わらずNO_3^-生成が起きており,既往の知見(ほとんどが高NH_4^+廃水を対象としている)と反する結果が得られた。これは本研究が,低NH_4^+廃水を対象としており,この基質濃度の違いによって構成される微生物菌相がユニークであることが原因だと考えられる。菌相解析結果からも,低基質濃度を好み,かつ低酸素でも生育可能なNitrospira属の亜硝酸酸化細菌が比較的高頻度に検出されている。今後は,この細菌の生育を抑制した上で,低アンモニア含有廃水を処理可能な一槽型亜硝酸型硝化-Anammox窒素除去システムの開発を行う予定である。
|
Research Products
(7 results)