2007 Fiscal Year Annual Research Report
ビス(ボスフィン)ボロニウム塩を利用するかさ高いジホスフィン類の新規合成法の開発
Project/Area Number |
07J13303
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
山本 嘉一 Tokushima Bunri University, 香川薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ホスフィン配位子 / ジボスフィン / ボロニウム / P-キラルホスフィン / 芳香族求核置換反応 |
Research Abstract |
本研究はかさ高いジホスフィン配位子の新規合成法を開発する目的で行ってきた。かさ高いジホスフィン配位子はその有用性が示されているものの、それ自身の立体障害のため合成が困難である。特に隣接位に二つのホスフィノ基を有するジホスフィノベンゼン誘導体の合成については現在に至るまでごく少数の例が報告されるのみであった。そこで、私は二つのホスフィンをホウ素で架橋したビス(ホスフィン)ボロニウム塩を開発し、これらを新しいジホスフィン合成用のビルディングブロックとして用いた。脱プロトン化したビス(ホスフィン)ボロニウム塩に、求電子剤としてオルトジフルオロベンゼンη6-クロム錯体を反応させることにより、連続的な芳香族求核置換反応を起こすことが可能となり、オルトジホスフィノベンゼン中間生成物を合成することができた。さらに、クロロベンゼン中フッ化テトラブチルアンモニウムを70℃で反応させることにより脱ボロニウム化を行い、目的とするオルトジホスフィノベンゼンの合成に成功した。光学活性なビス(ホスフィン)ボロニウム塩を用いることにより光学活性なオルトジホスフィノベンゼン化合物の合成も可能である。さらに本反応の改良として、ビス(ホスフィン)ボロニウム塩を用いない合成法も開発した。この改良により、調製が比較的煩雑であった光学活性ビス(ホスフィン)ボロニウム塩を用いることなく容易に光学活性なオルトジホスフィノベンゼン化合物を合成することができるようになった。 また、本題の研究課題を遂行している間に、オルトジフルオロベンゼンη^6-クロム錯体に過剰の脱プロトン化した二級ホスフィンを作用させるとパラビス(ボラナトホスフィノ)ベンゼンが得られることを見出した。本反応では二分子目の求核剤がテレ芳香族求核置換反応にて導入されている。このようなアレーンクロム錯体へのテレ置換反応は数例報告があるが限られた求核剤での報告のみであった。そこで私は求核剤として各種ホスフィン化合物を利用し、テレ芳香族求核置換反応によるパラビス(ボラナトホスフィノ)ベンゼンの合成を実施するとともに、その反応機構について、解析を行った。
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Research Products
(1 results)