2007 Fiscal Year Annual Research Report
心理データにおける評定基準の個人間差異と個人内変動を記述する統計モデルの開発
Project/Area Number |
07J13331
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
大久保 智哉 The National Center for University Entrance Examinations, 大学入試センター研究開発部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 対比較判断 / 推移律 / 選好変化 / 潜在クラスモデル / ベクトルモデル / 多枝多答式項目 |
Research Abstract |
本研究は,「心理データにおける評定基準の個人間差異と個人内変動を記述する統計モデルの開発」と題して,人間の心理・行動を測定したデータに対する分析モデルの開発を目的とした研究である.本研究は,平成19年度〜平成21年度までの3年間で計画された研究である.初年度にあたる平成19年度の研究の目的は,「評定基準における個人内変動を記述する統計モデルの開発」であった.研究の計画としては,「どのような判断基準からどのような判断基準に評定者内で評定基準が変動したか」という点を明らかにできるような統計モデルを,ベクトルモデルを潜在クラスモデルによって拡張することによって理論拡張をおこなう計画であった. それに対する研究成果は,理論を提案した上で,評定基準が変化するような対比較データを実験によって再現し,その評定データを提案したモデルによって分析をおこなった.さらに,情報量規準という観点からモデルの妥当性を実証した.また,個人内変動を記述するモデルの拡張をおこない,より柔軟なモデル表現を可能にした.これにより,経済学の分野で言われる「推移律を満たさないデータ」も分析可能になった. さらに,多枝多答式項目(複数の項目から複数の選択肢を選択させるような項目)において,その選択のパタンから選択特性を適切に評価する方法について研究成果を上げた.これにより,多枝多答式項目における評価をより適切におこなえるようになった. しかし,本研究で成し遂げていない点は,評定基準が個人内で変動するということを対比較データ以外では明らかにしていない点である.この点に関しては,今後の研究で明らかにする予定である.
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Research Products
(4 results)