2007 Fiscal Year Annual Research Report
甲殻類の卵黄形成調節機構の解明と人為起源化学物質の影響評価に関する体系的研究
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07J13363
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
平野 将司 Prefectural University of Kumamoto, 大学院・環境共生学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 甲殻類 / Mysid / 環境化学物質 / 卵黄タンパク質 / エクジステロイド / Ecdysone receptor |
Research Abstract |
内分泌かく乱物質の水生脊椎動物に及ぼす影響については多くの研究がなされているが、甲殻類など水生無脊椎動物に関する知見は極めて少ないのが現状である。卵黄形成に関与する内分泌調節機構は、これらの化学物質によって生物学的恒常性の機能異常が容易に惹起される可能性があり、生物個体群の保全という観点からもそれら作用機序を明らかにする必要がある。そこで本研究では、甲殻類における卵黄形成の調節機構を明らかにし、人為起源化学物質の影響評価を行うことを目的とした。本年度の成果は以下のように要約される。 海産甲殻類アミ(Mysid crustacea; Americamysis bahia)を対象として、卵巣成熟と密接な関係を示す卵黄タンパク質前駆体ビテロゲニン(Vtg)に着目し、Vtg cDNAクローニングを試みた。既に単離されている甲殻類のVtgアミノ酸配列情報から種々の縮重プライマーを作製し、RT-PCRによってcDNA断片のクローニングを試みてきたが、現在までのところ部分断片の取得には至っておらず、縮重プライマーを再設計し、クローニングを継続しているところである。また、これまで作製した抗アミ卵関連タンパク質抗体を用いたウエスタンブロッティングにより検出されたタンパク質について、アミノ酸配列を解析し、その情報をもとにcDNA断片のクローニングも試みている。アミにおける脱皮制御機構を調べるため、脱皮を制御する内因性ホルモン20-ヒドロキシエクジソン(20E)をリガンドとする核内受容体Ecdysonereceptor(EcR)およびUltraspiracle(USP)mRNAの発現解析を行った。脱皮周期に伴うEcR/USP mRNA発現変化は、イムノアッセイにより測定した20E分泌変動と同様の傾向を示し、20E分泌とEcR/USPの発現はアミの脱皮制御に重要な役割を果たしていると考えられた。
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