2007 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理電子状態計算法による含水カンラン石高圧相の構造と弾性特性の解明
Project/Area Number |
07J40001
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
土屋 旬 Ehime University, 地球深部ダイナミクス研究センター, 特別研究員(RPD)
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Keywords | マントル遷移層 / 弾性 / 含水量 / 高圧 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
第一原理電子状態計算法を用いて含水カンラン石高圧相(β相)構造中に1.65,3.3wt%の水を含んだ組成に関し水素欠陥構造の決定を行った。その結果、最も安定である構造は以前より提唱されていた構造とは異なることが判明した。さらにその構造は実験により報告されている(1)斜方晶から単斜晶への低対称化,(2)軸比の変化,(3)体積弾性率の減少率,(4)OH伸縮振動特性,等多くの測定事実を説明できることがわかった。 次に得られた安定構造を用いてその弾性特性を調べた。弾性定数は構造中に含まれる水の量に比例して減少し、実測とのよい一致が得られた。さらにまだ実験的に報告されていない含水β相の弾性定数の圧力変化を計算し、マントル遷移層圧力条件下における含水β相の地震波速度を見積もった。その結果、マントル遷移層上部圧力(約15GPa)において最大水固溶量3.3wt%まで含む揚合,含水β相の速度は無水の速度に対しp波,s波それぞれ-3.9%,-4.8%程度減少するという結果が得られた。さらにこのβ相に1wt%の水が含まれることによって減少する体積弾性率・剛性率はそれぞれ340-430K,290-350Kの温度上昇によって引き起こされる体積弾性率・剛性率の減少と同等であるということが見積もられた。すなわち、マントル遷移層における低速度領域は、高温異常と水の濃集の両方によって説明可能である。
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Research Products
(2 results)