Research Abstract |
新規データ収集としては,武蔵国埼玉郡粕壁宿(埼玉県立文書館),信濃国諏訪郡横内村(長野県立歴史館)を行った。この過程で,現存のデジタルカメラでは満足の行く撮影が出来ないことが判明し,新規にカメラ(研究奨励金)およびノートパソコン(科学研究費)を購入した。このデータは現在整理中である。また,既収集データのうち,美濃国安八郡中須村,播磨国加古郡高砂村,陸奥国安達郡荒井村の入力データから人口に関する基本統計を作成するとともに,統計加工マクロをエクセルで作成した。 さらに,歴史人口学資料整理の一環として,麗澤大学人口・家族史アーカイブにおいて人口史料検索プログラムの開発に携わった。これは,現在収集されている史料を整理するとともに,他研究者の閲覧に供するための支援プログラムである。 論文・口頭報告を国内および国外(アメリカ,ヨーロッパ)で行い,また社会経済史学会を始め,各種研究会に参加した。研究の成果としては,2008年度中に論文「在郷町の結婚と再婚」が,黒須里美編『歴史人口学からみた結婚・離婚・再婚』(仮題)として麗澤大学出版会から刊行予定である。 2007年度は,おもに「結婚」「離婚」「再婚」に焦点をあて,近世における陸奥国安積郡のデータを用い,麗澤大学黒須里美氏との共同研究として多変量解析を行い,周辺農村との同質性と異質性を検証し,その要因を分析した。現段階の結論として,異質性としては在郷町郡山のほうが周辺農村よりも若干初婚年齢が高いこと,同質性としては経済状況がよいほうが男性の場合には結婚や再婚を行いやすく,女性はその反対であることが得られた。
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