2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゴムの不均一性の解明と超臨界流体を用いた新規架橋系高分子材料の開発
Project/Area Number |
07J40139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 まや The University of Tokyo, 物性研究所, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 高分子構造・物性 / 中性子・X線・光散乱 / 高分子ゲル |
Research Abstract |
平成19年4月以降、引き続き超臨界二酸化炭素(scCO2)中のポリシロキサンゲルの膨潤過程をX線散乱により超小角・小角・広角領域にわたり(0.03≦q≦10nm^<-1>)測定したが、大きな差異が確認できなかった。ゲルの形状(ゾル・ゲル法により重合ミクロンサイズの球状のシリカゲル・平成18年度の研究報告書参照。)を変えることも検討したが、9月〜11,月の産休・育児休暇の後、試料の再検討を行なった。 その過程で、ポリスチレン(PS)/clayのナノコンポジット超薄膜(厚み100nm)をscCO2に浸すと、ほとんどのclay粒子が表面近傍に偏析することを渡米先のニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の古賀教授との共同研究のもと発見した。またこれまでに、筆者の所属する柴山研においてN-イソプロピルアクリルアミド(NIPA)ゲルにclayを混ぜた、ナノコンポジットゲル(NCゲル)の動的光散乱や、中性子散乱、中性子コントラスト変調法を用いた構造解析の報告例が出ている。そこで、scCO2中でのNCゲルの挙動を比較・検討することにより、今後、scCO2中のclay-NIPA間の相互作用や、scCO2-NIPA and/or clay間のmiscibilityなどがどう変化するか解明できるのはないかと期待している。さらに、NIPAゲルのscCO2中での挙動について、研究を続けていきたい。 新規素材の開発として、超臨界二酸化炭素/水系のエマルジョンの研究を開始した。現在、界面活性剤として、ポリエチレンオキサイドーポリプロピレンオキサイド(PEO-PPO)の共重合体に重点を置き、構造、組成、分子量の異なる数種類の試料を用いてエマルジョン形成の有無を調査中である。これまでの結果より、総分子量が近くてもPPOの組成が多い方が、また総分子量と組成の近いPEO-PPO-PEO共重合体(EPE)よりもPPO-PEO-PPO共重合体(PEP)の方が、よりよくscCO_2に溶けることがわかった。
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