2008 Fiscal Year Annual Research Report
経年による木材物性の変化に寄与する細胞壁微細講造のキャラクタリゼーション
Project/Area Number |
07J45088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
虻川 操 (横山 操) Kyoto University, 生存圏研究所, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 経年変化 / 古材 / 材質評価 / 文化財指定建造物 |
Research Abstract |
本研究では、木材の経年による材質変化を明らかにすることを目的として、履歴詳細の明らかな文化財指定建造物由来古材について、強度をはじめとした物性評価を行ってきた。 具体的には、飛鳥期から現代までの文化財指定建造物由来古材について人文科学的根拠(文書や加工痕跡)および自然科学的根拠(年輪年代や放射性炭素年代)に基づき、覆歴の明らかな古材を実験試料として10点選定し、各々について、物理的特性(密度・強度・ヤング率)、化学成分分析、X線回折、FTIR、分光測色による物性評価を行った。この成果によって、従来、宮大工ら等によって経験的にしか評価されなかった、木材の経年による色や強度の変化について科学的に客観的指標によって示すことができた。加えて、化学成分の変化から、木材の経年変化のメカニズムについての知見を得ることに繋がった。 今年度は、これらの結果に基づく知見からさらに微細な構造、特たセルロースの結晶領域と非結晶領域についての情報を得るため、NMR測定を行うための基礎的実験を行い、実験条件を確定した。また、さらにVOC測定を行い、木材に含まれる匂い成分の経年による変化についての知見を得るための実験条件の確定を行った。今後はこれらの結果に基づき、詳細な検討を行いたいと考えている。 また、古材収集の過程で行った文化財指定建造物のひとつ、京都府宇治市にある社寺建築に用いられた樹種について、中国考古学会議SEAAにおいてポスター発表を行った。
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Research Products
(1 results)