2009 Fiscal Year Annual Research Report
経年による木材物性の変化に寄与する細胞壁微細構造のキャラクタリゼーション
Project/Area Number |
07J45088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
虻川 操 (横山 操) Kyoto University, 生存圏研究所, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 木材 / ヒノキ / 強度特性 / 経年変化 |
Research Abstract |
木材の材料寿命と経年による物性変化の詳細を把握することを目的として、日本国内の歴史的建造物由来の履歴の明らかな古材を実験試料として各種物性評価を行った。 その結果、木材の経年による物性変化には異方性があること、すなわち、繊維方向強度は1000年経過後も大きく低減しないが、繊維直角方向の強度は経年によつて著しく低減する傾向を示した。この物性試験の結果について、木材の組織的構造的特徴との関係を明らかにするため、力学試験終了後の破断面についてSEMによる観察を行ったところ、新材では細胞壁そのものが破壊されていることに対し、古材では、細胞間層で破断されることが認められた。これは、木材構成成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)の経年によるそれぞれの変化傾向の違いを示していると考えられ、X線回折で得られたセルロースミクロフィブリル傾角、ならびにFTIRによる成分分析の結果も含めて総合的に考察すると、経年によりセルロースそのものは大きく変化しないが、ヘミセルロース量は著しく減少し、リグニンは質的に変化することが示唆された。またこれらの経年変化に寄与する木材中の水分について、現在更なる検討を続けている。
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Research Products
(8 results)