2009 Fiscal Year Annual Research Report
対人葛藤場面における子どもの社会的認知と社会的問題解決方略の発達
Project/Area Number |
07J45102
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
丸山 愛子 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 対人葛藤 / 子ども / 社会的認知 / 社会的問題解決方略 / 発達 / 米国 / 他者視点取得 / 適応 |
Research Abstract |
「対人葛藤場面における子どもの社会的認知と社会的問題解決方略の発達」について解明することが本研究の目的であった。研究対象は、日米の就学前児から小学生であったが、部分的に大学生への調査結果より考察を深めた。 本年度に行った主要な活動は、平成19年度、平成20年度に収集したデータをまとめて学会発表したり、論文化したり、書籍(共著)として公表することであった。しかし、日本において、幼児や大学生を対象に補足的に調査研究を行い、今年度においてもデータ収集を行っている。(なお、今年度まとめた研究・調査のデータは、平成20年4月~7日に広島大学大学院教育学研究科を拠点に活動して収集したデータと、平成20年7月19日~平成21年度3月30間にアメリカ合衆国のフロリダ州立大学を拠点としながらPreschoolと小学校で収集したデータである。) 日米の就学前施設や小学校で収集したデータから、主に以下の点が明らかになった。(1)対人葛藤場面において複数の情報を正確に認知し得た場合、子どもの年齢によって優先する情報が異なる。(2)子どもの不適応行動に対する保育士や教師のアプローチの違いによって、子どもの対人葛藤の生起頻度は異なる。また、対立後の仲直りおよび遊びの発展も顕著に異なることが明らかにされた。大人側(保育者や教師)からの、子どものよくない行動に対する禁止、理由を伴わない叱責、加害側の子どもに対する謝罪の強制や要求などの指導と比べると、相手の感情を推測させる指導者の介入や他者視点取得能力を促す援助が、子どもの攻撃行動を減らし、仲間との協調性を増加させ、さらに遊びを発展させていることが明らかになった。本研究の結果は、子どもの不適応行動の改善に寄与する基礎的データであり、保育者や教師の指導に対して重要な提言を提供しうる意義深いものであるといえる。
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Research Products
(8 results)