2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた血管新生におけるTGF-βシグナル系の解析
Project/Area Number |
07J45111
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伊東 史子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | TGF-β / 血管新生 / 遺伝子改変マウス / ALK5 / Smad |
Research Abstract |
新しい血管を作る過程は、さまざまなシグナルにより、厳密にそして複雑に制御されている。血管新生を調節するサイトカイン中でTGF-βに注目し、血管新生におけるTGF-βシグナルの役割を解明しようとしている。そのために、Cre-LoxPシステムを使い、血管系でALK5を欠損させたコンディショナルノックアウトマウス(CKO)を作製した。このマウスはALK5ノジクアウトマウスと同様に血管新生不全によりALK5ノックアウトマウスと同時期に胎生致死となった。さらに、血管平滑筋において欠損させると、ALK5CKOよりも2日ほど遅く死亡し、表現型はALK5CKOと類似していた。このことは、TGF-βシグナルが血管内皮細胞だけでなく平滑筋細胞にも重要であり、両者の相互作用が血管新生に必須であることを示している。 さらに詳細にTGF-βの役割を解明するために、TGF-βシグナル伝達分子であるSmad2を、Cre-LoxPシステムを使いノックアウトさせたマウスを、Smad3を欠損した背景をもつマウスにおいて作製した。このマウスの死亡時期は、ALK5CKOよりも遅いが、胎生致死であった。さらにその表現型は、これまでに見られた表現型とは異なり、胎児は全身から出血し、さらに血流が確保できないため、アポトーシスが亢進していることがわかった。血管内皮細胞のマーカーで免疫染色を行い、血管新生に問題はないことがわかった。出血の原因として、血管内皮細胞のタイトジャンクションが減少しているためであることを明らかにした。このことは、TGF-βが血管の成熟過程、細胞間接着に重要な役割を担うことを示す新たな発見である。
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Research Products
(5 results)