2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた血管新生におけるTGF-βシグナル系の解析
Project/Area Number |
07J45111
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伊東 史子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | TGF-β / 血管新生 / 遺伝子改変マウス / ALK5 / Smad |
Research Abstract |
血管新生におけるTGF-β/ALK1シグナルの重要性を明らかにするために、TGF-β/ALK5シグナルを欠失しているがALK1シグナルは維持できる変異型ALK5ノックイン(KI)マウスを作成した。しかし、ALK5KIマウスホモ接合体の表現型はALK5KOマウスと非常に良く似た表現形を示した。これは、ALK5シグナルが欠陥平滑筋細胞を含む全身で欠損させた影響が強かったと推測される。そこで血管内皮細胞特異的にTGF-β/ALK5シグナルを遮断する目的で、細胞内シグナル伝達分子であるSmad2/3を血管内皮細胞特異的に欠損させた(Smad2^<F/F>;Smad3^<-/->;Tie2-Creコンディショナルダブル欠損(Smad2/3CDKO))マウスを作製した。Smad2/3CDKOマウスはこれまで報告されたTGF-βシグナル関連分子欠損マウスと異なり、初期の血管新生には異常が見られなかった。ところが、胎生11.5日に脳内及び神経管内に出血し、胎生12.5日に致死となった。出血の原因としてタイトジャンクションを形成するClaudin5の発現やVSMCの血管へのリクルートが減少していることが免疫染色及び電子顕微鏡による解析により明らかとなった(投稿準備中、平成20年血管生物医学会YIA受賞)。ECだけでTGF-βシグナルを欠損させても、VSMCの血管へのリクルートが低下するという現象のほかに、TGF-βシグナルがECの成熟にも関与していることが示された。つまりTGF-βは血管新生を促進または抑制しているのではなく、促進または成熟化へと導くことが初めて示された。 血管内皮細胞におけるId1の役割を明らかにするために、Yeast two hybrid法を用いて結合タンパクを同定し、その中で特に強く結合しているタンパク質E2-2について解析を行った。その結果、E2-2はId1に結合して作用を抑制し、血管新生を負へと調節していることが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)