2008 Fiscal Year Annual Research Report
上皮性神経幹細胞の保持及び転換機構を担う細胞接着・骨格分子群のライブイメージング
Project/Area Number |
07J45128
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小野 美奈子 (織原 美奈子) Keio University, 医学部, 特別研究員(RPD)
|
Keywords | 神経幹細胞 / 上皮性幹細胞 / 神経前駆細胞 / ショウジョウバエ / OPC / E-cadherin |
Research Abstract |
上皮性を保持した未分化幹細胞が非上皮性細胞へ転換するというモデルに従って細胞周期解析を行ったところ、G1期で転換が完了すること、この転換を伴うG1期は前後の細胞周期に比較して延長が見られることが解っていた。遷移期間におけるE-cadherin局在を観察した結果、細胞形態が静的な状態から流動的な状態に変化し、細胞核も頭頂端から底端側に移動することを示した。しかしE-cadherinの発現自体はこの時点では減弱せず、更に一回程度の細胞分裂の後初めてシグナル強度が減少していた。そこで、この変化に対応する細胞外シグナルの関与解析のため、まずNotch-Deltaシグナル因子群について検討をおこなった。発現を観察した結果、Notch、Delta、活性型ERKなどの存在が認められ、中心部から周辺部に向かう分化傾向に沿って発現強度が移行することが示された。特に、形態変化が起き始める地点、遷移第一期(Ase発現以前)の開始とNotch signal強度が変化する地点が非常に良く一致し、E-cadherinの動態とNotch-Delta経路の相関が強く示唆された。またNotch遺伝子の欠失クローンでは細胞形態の異常も観察された。さらに、Notch強度は遷移第一期にいったん減少した後、前駆細胞として再び非対称分裂を行う時期には中程度に発現を回復していた。Notchは"側方抑制ののち二者択一"というように二回に分けて作用することがしばしば観察されているが、この系でも一過性ではなく繰り返し必要とされていることを予想させた。本課題をまとめると、遷移期間は細胞全体の形状という観点では、分裂せず、DNA合成せず、動きの少ない時期であったといえる。しかし細胞周期のG1という動きの少ない時期でありながら、次の周期での振る舞いを決するシグナル授受を完了していることは非常に示唆に富む結果であった。
|
Research Products
(3 results)