2007 Fiscal Year Annual Research Report
上皮性神経幹細胞の保持及び転換機構を担う細胞接着・骨格分子群のライブイメージング
Project/Area Number |
07J45128
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小野 美奈子 (織原 美奈子) Keio University, 医学部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 神経幹細胞 / 上皮性幹細胞 / 神経前駆細胞 / ショウジョウバエ / OPC / aPKC |
Research Abstract |
非上皮性細胞が出現する過程を連続的に捉えようとするに当たり、まず細胞周期のどの相で非上皮性を獲得するか検討した。BrdUによりS期細胞をラベルしつつ、時間経過とM期マーカーPH3および前駆細胞マーカーAseシグナルの出現を観察した。3令初期のOPC領域の細胞周期は上皮性領域で約16hrであり、前駆細胞領域では4hr程度であった。S期の比率はおよそ5割と推定できた。ところが上皮性と非上皮の境界付近に直前のS期から16hr以上経過してまだ次のS期に入らず、BrdUラベルを取りこまない細胞群があることがわかった。この中にPH3陽性のものは殆ど見られなかった。細胞形態や細胞接着パターンも特徴的で、ハエE-cadherinが膜全体に不定形に分布していることを見いだした。さらに24hrまでBrdUラベル時間を延ばしていくと前駆細胞としての細胞周期を開始していることが示された。以上の結果、前駆細胞への移行にあたり細胞周期進行が変化して分裂間期(主にG1期)が延長し、細胞接着部位の形態と前駆細胞特異的転写因子Aseの発現開始時期に応じて遷移第一期(Ase発現以前)、遷移第二期(Ase発現以後)に分けられることが示唆された。 次に、転換の前後でそれまで維持されてきた上皮構造がいったん壊され再構成されることと前駆細胞への分化開始のどちらが先行するか検討した。頭頂・側底極性の制御分子aPKCの機能欠損個体では、上皮性幹細胞の適切な増殖や配列・層構造形成が失われていた。しかし前駆細胞への転換自体はほぼ正常頻度で起きていることが観察された。さらに発生を進めた個体では分化した神経細胞までが生じていた。従って上皮性構造の保持は前駆細胞への転換の際の運命決定とは独立であることが示唆された。時系列的な観察結果からも、細胞周期進行の速度変化が先行して次に接着構造が変化しており、矛盾しない。
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Research Products
(2 results)