2007 Fiscal Year Annual Research Report
中世法会における声明演唱法の復元的研究-声明・雅楽の古楽譜解読による-
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07J45136
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
青木 静乃 (近藤 静乃) National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo, 無形文化遺産部, 特別研究員RPD
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Keywords | 声明 / 雅楽 / 付物 / 中世法会 / 復元 / 古楽譜 |
Research Abstract |
1)「偈頌」の調査:今年度は、声明・雅楽の合奏曲〈偈頌〉について集中的に研究を行った。〈偈頌〉の譜は、四大楽書のひとつ『続教訓抄』に、声明の博士譜と笛譜が併記されるかたちで収録されており、これに類似した譜が別の楽書『體源紗』にもみられる。主たる分析対象とした『続教訓抄』は、多くの伝本が存在するものの完本がなく、まずは諸本の比較検討が必要となった。そこで、『続教訓抄』伝本の網羅的調査を行い、各伝本における〈偈頌〉譜の有無とその内容を確認した(調査した所蔵機関:国立国会図書館、国立公文書館内閣文庫、前田育徳会尊経閣文庫、静嘉堂文庫、神宮文庫、京都大学附属図書館・同国文学研究科図書館、東北大学付属図書館狩野文庫、宮城県図書館みやぎ資料室[仙台伊達家旧蔵])。いっぽう、雅楽器の奏法譜による〈偈頌〉譜については、豊原龍秋撰の笙譜(国立国会図書館蔵)を新たに確認した。なお、他の楽器譜については、宮内庁書陵部や東京芸術大学等にて『三五要録』『類箏治要』などの調査を行い、〈偈頌〉(『続教訓抄』)以外の曲目も視野に入れて調査を続行中である。 さちに、資料調査と並行して、龍笛奏者の芝祐靖氏と笙奏者の高原聰子氏にご協力により『続教訓抄』所収の〈偈頌〉譜の解読と復元試演をおこない、中間報告として東洋音楽学会大会で口頭発表を行った。 2)現行法会の調査:法会中で雅楽が多く用いられ、特に伽陀付物(伴奏)がなされる数少ない現行例のうち、(1)大阪四天王寺:聖霊会(4/22)、(2)京都三千院:御懴法講(5/30)、(3)奈良法隆寺:お会式(3/22)の三会を聴聞し、現行の次第と奏楽の実態を調査した。 3)各種データベースの作成:今年度は、次の3種に着手した。(1)1)で収集した資料の整理、(2)中世の如法経十種供養の事例(その成果は、学会誌『楽劇学』の論文の一部とした)、(3)声明曲〈伽陀〉の旋律構造分析のためのデータベース
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Research Products
(2 results)