2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋におけるインスリン反応性糖輸送システムの獲得機構の解明
Project/Area Number |
07J45163
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根建 美也子 (有賀 美也子) Tohoku University, 大学院・医工学研究科, 特別研究員(RPD)
|
Keywords | 骨格筋 / 脂肪 / インスリン抵抗性 / 糖 / 分化 / Sortilin / GLUT4 / 運動 |
Research Abstract |
前年度までに、筋細胞において、GSV構成タンパク質のひとつであるSortilinが分化を促進し、その結果、GLUT4を介した糖取り込みが増強されることを見出した。今年度明らかにしたのは以下の3つである。 1、Sortilinの脂肪細胞における役割 3T3L1脂肪前駆細胞にSortilinを一過的に発現させると、分化マーカーであるPPARγなどのタンパク量が増加した。一方、分化誘導時に、Sortilinをノックダウンすると、分化は抑制された。よって、脂肪細胞においても、Sortilinは分化促進作用を持つことが明らかとなった。ただし、筋細胞と異なり、Sortilinによる脂肪分化促進の際、proNGF.NGFの介在は認められなかった。 2、糖濃度と骨格筋におけるSortilin発現量の関係 筋細胞において、細胞外糖濃度の上昇・低下に応答して、Sortilinタンパク量は増加・減少した。その量調節は、翻訳後のタンパク合成の段階で行われていることが分かった。また、細胞外糖濃度に応答したタンパク量増加は、rapamycin感受性mTOR経路を介することが明らかとなった。 3、Sortilinの運動における役割 筋細胞において、運動を模した電気刺激によるSortilinタンパク量の変化は認められなかった。一方、局在については、細胞内に散在していたものの一部が、運動刺激後に細胞膜近傍に移行することを見出した。他の結果と併せると、運動刺激に応答して、SortilinがGSV輸送担体としてGLUT4膜移行を促進し、その結果、糖取り込みが促進されたと考えられる。 以上より、筋肉におけるSortilinタンパク量および局在の制御が、正常な糖代謝の維持に重要な役割を果たしていることが示唆された。さらに、筋芽細胞のみならず、正常な脂肪前駆細胞の分化も促進することにより、インスリン抵抗性を改善する可能性が示された。
|