2008 Fiscal Year Annual Research Report
全球大気海洋系における卓越変動の季節発展と海洋亜表層の役割
Project/Area Number |
07J45212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前野 さやか (安中 さやか) The University of Tokyo, 気候システム研究センター, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 海面水温 / レジームシフト / 十年規模変動 |
Research Abstract |
日本の冬季気温の経年変動を,大規模大気循環場との関係に着目して考察した.日本の地点気温に対する回転主成分分析により,北西季節風の強さと関連する二つの卓越した変動パターンが抽出された.第1モードは,本州および南西諸島の気温変動を表すモードだった.風による温度移流の効果が気温偏差と関連することが示唆される一方,本州太平洋側の日照時間は,気温が低いときに長い傾向があった.また,大規模循環場との関係を調べたところ,WPパターンを伴っており,ENSOと関係することがわかった.第2モードは,北日本の気温変動を表し,1988/89年に大きな変化を示した.温度移流の効果が気温偏差と関連することが示唆されたが,日照時間との相関は低かった.また,対応する大気循環場のパターンは,北極振動に類似していた. 大気海洋結合大循環モデルに見られる太平洋十年規模変動を調べた.ENSOに関連する数年周期とともに、10〜30年の周期帯にもスペクトルピークを持つ変動が存在していた.Decadalスケールの変動は,ENSOスケール変動によく似た時空間特性を持っている一方,赤道西部に貯まった水温偏差の東進速度が異なることで,両者の変動周期の違いが生じたと考えられる.また,東進速度の違いにより,ENSOスケールの変動とDecadalスケール変動の特性の違いを推察することができた.
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