2007 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子分光による5Kから40Kでのタンパク質の構造変化の観測
Project/Area Number |
07J52363
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小井川 浩之 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タンパク質 / 単一分子分光 / 光合成アンテナ複合体 |
Research Abstract |
タンパク質は生理環境下で多数の安定構造間を移り変わっている。タンパク質の機能の理解をするためには、この構造変化の詳細を知ることが重要である。ところが多数の分子からなる集団を対象とした通常の集団測定では、個々のタンパク質の立体構造のダイナミクスの情報は集団に埋もれてしまって見ることができない。そこで、5Kから40Kの低温下で、単一分子分光の手法をタンパクと色素の複合体である光合成アンテナ複合体LH2に適用した。単一LH2に含まれるB800バクテリオクロロフィルaの発光励起スペクトルの時間変化を調べることで、タンパク質の自発的構造変化のようすを5Kから40Kの各温度で観測した。 この測定から得られたスペクトルの時間変化のデータは非常に複雑であり、こうしたデータの一般的な解析手法は確立していない。そこでまずスペクトルの吸収中心周波数をローレンチアンフィッティングによって求め、中心周波数の時系列データを得た。さらにこの時系列データから構造変化の頻度を求め、アレニウスプロットを行うことで、タンパク質の構造変化の温度依存性を調べた。その結果、LH2のB800バクテリオクロロフィルα周囲のタンパク質の構造変化には温度依存性が強く出るものとほとんどでないものとがあることがわかった。温度依存性が強く出るものに対しては構造変化の活性化エネルギー、つまりポテンシャル障壁の高さを求めることができた。温度依存性がほとんどでない構造変化は水素結合のプロトンのトンネリングが関わっていると考えられる。
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Research Products
(1 results)