2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J52523
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中村 高志 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸素安定同位体比 / 水素安定同位体比 / 硝酸性窒素安定同位体比 / 扇状地地下水 / 降水 / 河川水 / ハイドログラフの分離 / 主要溶存化学成分 |
Research Abstract |
本研究では,これまで研究例の少なかった,扇状地を含む中規模流域における硝酸イオンの流出特性の解明を目的とし,各種安定同位体をトレーサーとして用いることにより,水循環と硝酸イオンの流出負荷を同時に同定・定量するというオリジナリティーのある試みを成功させた。 調査流域は,上流域が山林で下流域は扇状地が形成され果樹園や畑地が広く分布する笛吹川中流域を選定した。窒素負荷が急激に増加するとされている出水時の窒素流出特性を把握するために,降水イベントによる出水を対象とし流出河川水の連続採取を行った。また,対象流域ないにおける降水および扇状地地下水を通年で採取し,水中水素・酸素安定同位体比および硝酸性窒素安定同位体比,さらに主要溶存化学成分を測定した。得られた各種安定同位体比値および主要溶存化学成分のデータの解析を行った結果,流域における硝酸性窒素の起源が主に山林起源の窒素および窒素肥料であることが明らかとなった。また,これらの窒素の出水時における流出を定量的に評価した。これらの研究成果から,河川へのNO_3^-流出負荷源としての地下水の重要性を指摘するに至った。本研究の成果は,河川への窒素流出および停滞水域における富栄養化対策を行うにあたっては,流域における地下水水質の維持管理が必要不可欠であり,硝酸性汚染の改善が進まない地下水の水質改善および管理の重要陸を指摘した。
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Research Products
(8 results)