2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J52573
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 好弘 Nagoya University, 環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 氷河変動 / 質量収支 / ヒマラヤ / チベット |
Research Abstract |
ヒマラヤ・チベット高原からなるアジア高山域では、モンスーンの影響により降水が夏期に集中する。そのため、古くから研究が盛んに行われている欧米の氷河とは異なり、これらの地域の氷河は夏期の降雪によって涵養される。このような気候的特徴のため、アジア高山域の氷河は欧米の氷河に比べて気候変動に対してより敏感であると言われている。そこで本研究では、この夏期涵養が氷河質量収支に与える影響について調べるために、ヒマラヤ・チベット高原地域の3つの氷河を対象にして、異なる降水環境下の氷河における気温や降水量の変動による年間質量収支の変化を調べることによって、降水の季節性と気候変動に対する氷河の感度との関係について検討した。 夏期に降水が集中するアジア高山域の気候下では、異なる降水の季節性を持つ気候下に比べて温暖化による融解量の増加が大きいということは、チベット高原の氷河を対象とした過去の研究で指摘されてきたが、このことが本研究によっても示された。さらに本研究によって、降水量の少ないチベット高原地域の氷河とは異なり、降水量の多いヒマラヤ地域の氷河では温暖化による降雪量の減少が特に大きいということが、温暖化による融解量の増加が大きいということと同等もしくはそれ以上に重要になることが新たに分かった。 本研究による成果は、国際測地学・地球物理学連合(IUGG)総会(ペルージャ、イタリア)にて発表した。そして、これらの国際学会における議論や意見交換の結果をふまえて研究成果をまとめ、学会誌(Journal of Glaciology)に投稿した。
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Research Products
(3 results)