Research Abstract |
近年,人間の生活情報を逐一把握する手段として,衣服や身の回りの品に各種マイクロセンサが埋め込まれつつある.上記センサを実現するためには,センサは任意の曲面上に実装可能であることが必要である,本研究では,センサを構成する素材としてMEMS薄膜形成技術で加工した人工繊維を導入し,これを衣服のように織り込むことで作製する織物状触覚センサを実現した.本センサは,縦糸と横糸の上下の人工繊維間でコンデンサが形成されている.接触力が加わるとそれらが変形して繊維間の接触面積が変化し,その結果,静電容量が変化する.従って,静電容量変化を測定することで交点に加わった接触力を検出することができる.本センサは,人工繊維からなる織物構造であるため,(1)任意の三次元曲面上に実装できる,(2)交点全てが接触力の検出点であるため,接触力の二次元分布を取得できる.(3)人工繊維を衣服などへ直接適用することで,ウエアラブルセンサを作製することができる.といった特徴を持つ. これまでに,本織物状触覚センサを作製し,その特性について評価した.具体的には,センサの荷重とセンサ出力の関係およびクロストーク特性について評価し,センサが,約2mmの空間分解能で荷重検出できることを確認した.次に,接触力の二次元分布量の取得機能についても実験を行い,センサがその機能を有していることを確認した.また,センサを構成する人工繊維の変形を表す材料力学モデルを構築し,本触覚センサを構成するための設計指針となる結果を得た.さらに,織物状触覚センサを手袋上に実装することでウエアラブルセンサを実現し,接触力を検出できることを示した.以上で得た結果について,2件の国際会議および1件の国内会議において発表を行った.
|