2007 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧下における軽アルカリ金属の超伝導と原子対形成状態の研究
Project/Area Number |
07J52753
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松岡 岳洋 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リチウム / 原子対形成状態 / 超伝導 / 高圧力 / ダイヤモンドアンビルセル / X線回折測定 |
Research Abstract |
軽アルカリ金属リチウムについて、超高圧下における原子対形成状態と超伝導転移の探索を目的とした。 リチウムをダイアモンドアンビルセル内に封入して圧力を加え、X線回折測定によって結晶構造解析を行うと同時に、試料空間内に挿入した電極で電気抵抗の変化を観測した。2つの測定を同時に行うことで結晶構造と電気的性質の関係を明確にすることを可能にした。 X線回折測定により、70GPa以上の超高圧力下で2つの高圧相が存在することを明らかにし、それぞれをhp-I相(70〜80GPa)、hp-II相(80GPa以上)と名付けた。さらに、同時に測定した電気抵抗測定により、リチウムがhp-II相において(圧力誘起)金属から半導体に転移することを見出した。これは金属元素では初めての圧力誘起半化の観測である。リチウムは100GPa以上の圧力下で原子同士が対を形成(Cmca構造)して半導体に転移すると理論予想されてきたが、hp-II相においてこの状態が実現している可能性がある。Cmca構造は水素が超高圧力下で金属に転移した際にとる結晶構造と予想されており、金属水素の生成と物性について知見を得る取り組みにおいても重要な結果が得られた。 超伝導転移温度T_cについては、fcc構造(10〜40GPa)において圧力とともに急激な上昇を見せた後に最大値をとって、下降に転じることを明らかにした。また、いったん減少したT_cは45〜70GPaで存在するcI16構造においては再び上昇することも明らかにした。リチウムはもっとも基本的な金属のひとつであり、金属一般の超伝導発現機構について知見を得る上で、結晶構造とT_cの関係を明らかにした今回の結果は重要である。
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Research Products
(3 results)