2007 Fiscal Year Annual Research Report
放牧地における温室効果ガス(CO_2,CH_4,N_2O)の放出・吸収量の推定
Project/Area Number |
07J54153
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
八代 裕一郎 Gifu University, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 放牧草地 / メタン / 亜酸化窒素 / 牛糞 / 牛尿 / 土地利用変化 |
Research Abstract |
本研究では、黒毛和牛の放牧草地において、シバ群落と牛糞尿投入点のCH_4,N_2O放出・吸収速度を測定した。シバ群落における測定は2007年の4月から10月まで月1回程、牛糞尿投入点における測定は7月下旬に牛糞尿が投入されてから、2ケ月にわたり追跡調査を行った。 シバ群落の平均CH_4放出・吸収速度は極めて小さく、-4.7から9.3ugpgCm^<-2>h^<-1>の範囲で変動した。この値は付近の森林からのCH_4吸収速度(-233から-293ugCm^<-2>h^<-1>)を大きく下回った。牛糞投入部からは1日目に多量のCH_4放出が見られ(最大で21865.7ugCm^<-2>h^<-1>)、その後急速に減少した。一方、牛尿投入部ではCH_4放出・吸収速度にほとんど影響が見られなかった。牛糞投入点は短期的に多量のCH_4を放出することが明らかとなった。 シバ群落の平均N_2O放出速度は極めて小さく、-0.1から1.1μgNm^<-2>h^<-1>の範囲で変動した。この値は付近の森林からのN_2O放出速度(0.5から1.3ugum^<-2>h^<-1>)と変わらなかった。一方、牛糞からのN_2O放出速度は、投入から約10日でピークを迎え(最大で301.4ugum^<-2>h^<-1>)、その後減少した。また、牛尿も投入から10-30日程度でピークを迎えて(最大で1783,4ugNm^<-2>h^<-1>)、その後減少した。牛糞投入点はシバ群落に比べ非常に多くのN_2Oを放出することが明らかとなった。 牛糞投入点は短期的に多量のCH_4を放出することと、森林に比べシバ群落のCH_4吸収量は極めて小さいことから、森林を放牧草地化した場合、CH_4は吸収源から放出源に転じると考えられる。また、糞尿の影響により放牧草地全体からのN_2O放出量は森林に比べ非常に大きく、森林を放牧草地化した場合、N_2O放出量は増加すると結論できる。
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Research Products
(1 results)