2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J54193
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉山 大二朗 Osaka University, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 血液細胞分化 / リプログラミング / 転写因子 |
Research Abstract |
本研究では、転写調節因子FOG-1が、異なる細胞において異なった機能を発揮する分子メカニズムについて明らかにすることを目的としている。(1)OP9システムを用いたES細胞からマスト細胞への分化誘導過程の様々な分化段階において、FOG-1の発現をコンディショナルに誘導し、分化マーカーの発現、形態的な観察、遺伝子発現の解析を行った結果、FOG-1の異所性発現が、好中球の分化を誘導することを明らかにした。(2)GATA-1、PU.1、FOG-1を細胞に強制発現させ、共免疫沈降法により、GATA-1とPU.1の結合が、FOG-1により阻害した。また、PU.1の転写活性化能は、GATA-1により著しく減少することが明らかとなっている。本研究では、FOG-1存在下では、GATA-1によるPU.1の転写活性の抑制は阻害された。(3)GATA-1:PU.1複合体の形成を特異的に阻害するタンパク(PU.1ΔC)を作製した。さらに、マスト細胞分化において、PU.1ΔCの強制発現を行った結果、FOG-1と同様に好中球が誘導された。この結果より、FOG-1はマスト細胞分化誘導過程において、GATA-1:PU.1複合体の形成を阻害することで、好中球を誘導すると考えられた(4)FOG-1を成熟マスト細胞へ異所性発現させるとマスト細胞特異的な好塩基性顆粒が消失する。Tet-off systemを用いた実験より、この好塩基性顆粒の消失は可逆的であることが明らかとなった。また、マスト細胞分化において重要な機能を持つMITFの発現が減少しており、好塩基性顆粒の消失の原因であると考えられた。 本研究で得られた成果は、転写因子複合体を構成する核内因子の差異が、どのように細胞分化に影響を与えるかを明らかにするものであり、細胞分化のメカニズムの解明へと繋がる重要なテーマである。
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Research Products
(1 results)