2007 Fiscal Year Annual Research Report
古代日本における律令制成立期、及びその前段階の政治体制について
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07J54203
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中島 章代 (山元 章代) Nara Women's University, 大学院・人間文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 律令制 / 宮室構造 / 朝堂 / 朝堂院 / 朝政 / 朝参 / 大夫 / 大夫合議制 |
Research Abstract |
今年度は論文「『朝堂』の成立とその性質-持統紀『朝堂』記事の再検討-」を『奈良女子大学21世紀COEプログラム報告集Vol.14古代都市とその形制』に発表するとともに、新たな論文「古代日本の朝堂と朝政・朝参」を作成した。後者では藤原宮以後の朝堂に朝座を有した官人らが、午前中の朝政の場であり、朝参の拝礼の場でもある朝堂院に毎朝参入しながら、朔日以外は庭に整列しての拝礼を行わなかったこと、また親王や太政大臣、左右大臣らは、官人らが朝座に揃った後に参入し、下座・動座など一斉の礼儀を受けたことなどから、大極殿は藤原宮の段階からすでに、天皇の日常聴政の場ではなく、特別の機会に天皇が出御する殿舎であったこと、朝堂での朝政は臣下らによって自律的に行われ、天皇の判断を仰ぐべき重要事項のみが内裏で上奏されたと考えられることなどを述べた。 次いでこれまでに作成した五本の論文を加筆・修正し、統合して、博士学位論文「律令制成立期の政治体制と宮室構造」を作成した。律令制の本格的施行に至る過程には、様々な歴史上の画期が存在するが、645年の乙巳の変後行われた、飛鳥から難波への政権拠点の移動、冠位を持つ者全般に対する、宮室への毎朝の参上と朝庭での拝礼、午前中の庁での執務の義務付け、広大な朝庭と多数の庁からなる、後の朝堂院に相当する構造の成立は、強制と同意の双方を背景とした、官僚制整備の断行を示す事象であることを主張した。また冠位十二階の小徳以上を基準としたマヘツキミ層の性格は、天武朝の「小錦以上大夫」、令制における五位以上「大夫」の階層に引き継がれたが、五位以上官人が各官司の長宮・次官などとして決裁を行い、重要事項について更に太政官議政官の決裁を仰ぐ朝政のシステムは、官僚制整備の過程で確立されたものであり、乙巳の変以前に皇位継承問題などを巡って、マヘツキミらによって行われたとされる合議などとは異質であることを述べた。
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Research Products
(3 results)