2007 Fiscal Year Annual Research Report
人工染色体を用いたヒトKlotho遺伝子による機能再生医療技術の開発
Project/Area Number |
07J54212
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
阿部 智志 Tottori University, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 人工染色体ベクター / Klotho遺伝子 / 幹細胞移植 / 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
我々は遺伝子治療用ヒト人工染色体ベクター(HAC)を作製しその実用化を目指している。細胞への導入効率の問題から、ウイルスベクターようなin vivoでの導入ではなく、幹細胞を用いた、ex vivoでの導入に焦点をあてている。幹細胞移植による遺伝子欠損に対する治療に向けて、この際問題となるのが幹細胞移植効率、生着率であるが、私は近年酸化ストレスに対する耐性能や幹細胞制御に重要なWntシグナルに関わることが報告されているKlotho遺伝子を、我々の作製した遺伝子治療への応用を目的としたヒト人工染色体ベクターに共搭載し、移植効率、治療効果向上を試みている。 1.ヒト人工染色体ベクターに導入可能なヒトゲノムPAC libraryからスクリーニングによりヒトKlotho遺伝子領域をカバーするPACを同定した。 2.このPACについてのどこまでの領域をカバーしているか検証した。 3.3種類のそれぞれ異なるサイズのPACを選別し、ヒト人工染色体ベクターを保持するCHO細胞にCre-LoxPシステムを用いて導入した。 4.得られたクローンについてPCR,FISH解析により、ヒトKlothoをカバーするPACが人工染色体ベクターに搭載されたこと、およびヒトKlotho-HACが宿主染色体に組み込まれず独立に維持されていることを確認した。 5.ヒトKloth-HACを保持するCHO細胞においてヒトKlotho遺伝子の発現を検証。CHO細胞においてmRNAレベルでヒトKlotho遺伝子の発現を確認した。 6.ヒトKlothoの発現が報告されているmortal human embryonic fibroblast cell lineおよび、ヒト間葉系幹細胞:hMSCについてヒトKlothoの発現をRT-PCRで検証。発現を確認。MSCでもPACを用いた内在プロモーター制御下においてもヒトKlotho遺伝子が発現することを示唆。 近年のヒトKlotho遺伝子機能に関する報告論文を元にして、当初の予定であったTcマウス作製よりも、現在は幹細胞に導入してex vivoでの幹細胞移植効率向上を優先して研究を進めている。今後は過剰発現での効果との比較検討も含め実際MSCに構築したKlotho-HACを導入し検証を進めていく。
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