2008 Fiscal Year Annual Research Report
PKAシグナルによるATF4の活性化機構と上皮-間充織転換の制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
07J55041
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 享 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経堤細胞 / EMT |
Research Abstract |
神経堤細胞は発生初期に神経板と表皮外胚葉の境界部に形成された後、上皮-間充織転換(EMT)によって離脱し、胚体内を様々な場所に移動して末梢神経系の細胞や色素細胞等を含む様々な細胞種に分化する。この神経堤細胞のEMT過程においてはBMP、Wnt、FGFやPKAなど様々なシグナルが働いていることが知られている。前年度の実績報告書では鳥類胚の神経堤細胞のEMT過程おいてPKA応答性の転写因子ATF4のmRNAとタンパク質が神経堤細胞に発現すること、神経堤細胞のEMT過程の前後においてATF4タンパク質が局在変化することを報告した。またATF4の全長をクローニングし、発現ベクターを作製した。今年度はATF4の機能を知るために、ATF4の発現ベクターを電気穿孔法を用いて鳥類胚の神経管に導入した。結果、ATF4を導入した神経上皮細胞で異所的なEMTを誘導するような現象は確認されなかった。しかし、ATF4を導入された細胞ではN-cadherinやCadherin6Bなどの細胞接着分子の発現レベルの低下、基底膜側のマーカーであるLamininの異所的な局在、移動中の神経堤細胞に発現するIntegrin β1の異所的な発現誘導等が確認された。これらはEMTの現象を示す要素であることから、ATF4は単独ではEMTを完全に誘導することはできないが、部分的にEMTを誘導する役割を持つことが考えられた。なお上記の結果については、4月に東北大学にて行われた東北大学脳科学グローバルCOE第7回若手フォーラムにおいての招待講演では日本語で発表を行い、5月に徳島県徳島市で行われた第41回日本発生生物学会、8月に宮城県松島市で行われた東北大学脳科学グローバルCOE第1回脳神経科学サマーリトリート、及び9月にフランスのジアンで行われた日仏発生生物学会における合同年会の国際学会において英語による発表を行った。
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